『 青島太平洋マラソン 』
走る。走る。走る。
ただ遥か先のゴールを目指して。
スタートの瞬間から年齢、職業、学歴、収入、出世、肩書、嫁姑
預貯金、住宅ローン、老後の不安、子どもの教育、年末調整
確定申告、その他諸々、一切が頭に無くなり
考えることは自分の身体の状態のみ。
そこでは自分がどんな過程を経たかが唯一の問題で、それ以外は無に等しい。
ただただ己と向き合う孤独で贅沢で過酷で至福の時間。
ある物は自己記録の為に走り、ある者は完走を目指して走り
ある者は自分だけの理由で走り、ある者は理由も無く走る。
走る人の数だけ走る理由があり、走る喜びがあり、走る哀しみもある。
途切れることのない声援や、見ず知らずの人の応援に心を奮い立たせ
ゴールの歓喜を目指す。遠く長い果てしない道のりを走りゴールの区切りへ。
走り切った充実。もっと走れた後悔。走り切った安心と
次の区切りへの不安。強く想う気持ちは自分以外の人への感謝。
自分がいかに支えられているか。自分がいかにちっぽけか。
感謝の気持ちが湧き上がり、謙虚に生きねばと痛感する。
マラソンは一人では走れず、一人ではまたマラソンも受け入れない。
それを実感できただけで大収穫。走る道のりは次へと繋がる。
私はあなたに問いたい。なぜマラソンを走らないのかと。
シューズひとつでどこでも行ける、このろくでもない最高の世界を。